Tianasquare by Jeff Widener (The Associated Press)

天安門事件の「戦車の男」、中国で閲覧可能に グーグルの検閲中止受け
【1月13日 AFP】1989年の天安門(Tiananmen)事件で戦車の列に1人で立ち向かう男をとらえた有名な写真「Tank Man(戦車の男)」が13日、米インターネット大手グーグル(Google)が中国当局の検閲を受け入れない方針を発表した数時間後に、検索サイト「Google.cn」から閲覧可能になった。中国当局は国内でこの画像を禁止している。
(2010/01/13 AFP)

事の発端は、こちら。

グーグル、中国からの撤退も検討 人権活動家へのサイバー攻撃めぐり
【1月13日 AFP】米インターネット大手グーグル(Google)は12日、中国の人権活動家を狙った「高度な技術を用いた」サイバー攻撃が発生していることを明らかにし、中国での事業から撤退する可能性もあると警告した。
(2010/01/13 AFP)

いまだに情報統制が厳しい中国では、ネットの検索までも検閲が行われている。中国の市場に参入する外国企業はこの踏み絵を踏まねばならず、Googleもその例外ではなかった。2006年1月、Googleが中国に進出することを発表した際、中国政府が要求した検閲に対して同意したことをGoogleは認めた。この決定に対して「国境なき記者団」などから批判の声が上がったが。Google内でも苦渋の選択だったようだ。

グーグル、中国で新サイトを公開へ–検閲導入ではやくも波紋(2006/01/25 CNET Japan)
米Google、中国政府による検閲の受け入れを公表(2006/01/30 INTERNET Watch)
Google in China(2006/01/27 The Official Google Blog)

そして、検閲の最たる例が、1989年の天安門事件。この事件を「Google cn」で検索しても、決して表示されることは無かった。現に、今でも「Yahoo.com.cn」で「天安門事件」と検索しても、出てくるのは1976年のいわゆる第一次天安門事件。「天安門事件 1989」と検索しても、検索結果が出てこない(2010/01/18現在)。

それが今回、Googleも堪忍袋の緒が切れた模様で、検索結果に対する検閲の中止を発表。数時間後には、禁止対象の検索結果の表示が可能に(2010/01/22 再び検索できず。「据当地法律法规和政策,部分搜索结果未予显示。」)。

大いなる決断を下したGoogleだが、それは決して容易なことではなかっただろう。というのも、これまで大きく水を開けられていた中国産検索エンジン「百度」とのシェアを、ここにきて急速に縮めていたからだ。

中国オンライン検索市場でGoogleのシェアが拡大、「百度」との差を縮小
アイルランドのStatCounterが現地時間2010年1月13日に発表した中国オンライン検索市場に関する調査結果によると、過去半年間で首位の中国Baidu(百度)と米Google(写真)の差が縮まっているという。2009年7月時点で中国におけるBaiduのシェアは68%、Googleは30%だったが、2009年末時点にはそれぞれ 56%、43%と接近した。なお米Yahoo!と米Microsoft(Bing)のシェアは合計で1.18%だった。
(2010/01/14 IT Pro)

ここまで追い上げてきているのに撤退してしまっては、今までの努力が水泡に帰してしまう。それにも関わらず、中国政府との衝突を覚悟したGoogle。

その一方、マイクロソフトは

「MSは中国で事業を続ける」–バルマーCEOが表明
中国からの撤退を検討しているというGoogleの発表を受け、Microsoftの最高経営責任者(CEO)であるSteve Ballmer氏は、中国で事業を続け、同国の法に従う意向を明らかにした。
(2010/01/15 CNET Japan)

さらに、アップルは

アップル、中国で一部のiPhoneアプリを規制、ダライ・ラマやウイグル人活動家関連
【1月2日 AFP】マックワールド(Macworld)などの雑誌を出版しているIDG(International Data Group)グループの通信社、IDGニュースサービス(IDG News Service)は、米アップル(Apple)が、携帯電話iPhone(アイフォーン)のユーザーが中国でチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)14世に関連したアプリケーションをダウンロードするのを規制していると報じた。
(2010/01/02 AFP)

、、、

いずれにしても今回の件は、情報統制という国家の安全保障に、企業が公然と楔を打ち込んだ象徴的な出来事になろう。しかも、相手が中国であるだけに、国際社会に及ぼしたインパクトは計りしれない。一国の自由を、企業が切り開ける可能性を示したのである。

1989年、戦車に立ちはだかったのは一人の男だった。
そして2010年、中国に立ちはだかったのはGoogleだった。

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